都立日比谷図書館、最後の日 前編
3月31日。
都立日比谷図書館、100年の歴史に幕を閉じる。
「3月中に、日比谷が閉館になるので、監督是非いらしてください!」
日比谷図書館の名物司書である「樋渡えみ子さん」に誘われて直樹と行ってきた。
僕も助監督時代に何度もお世話になっている図書館である。
最終日に立ち会えたこと、実に感慨深いものがある。
カウンターで、「樋渡さんにお会いしたいんですけど・・・」と伝えたが、
「樋渡は忙しいんで、また今度にして下さい」という返事。
ガビーン!そりゃあ忙しいのは分かるけれど、また今度って・・・。
はたして次はあるのだろうか。しまったなぁ、ひと足遅かったのか。
そう思いつつ粘っていると、樋渡さんが、 駆けつけてきてくれた。
「監督!これから館長の最後のご挨拶がありますから、ホールへ来て下さい!」そういって手をひいてくれた。ホッ。
ホールには既に老若男女、様々な人々が集っている。
(お別れ企画として、投票によって決まった映画の上映が行われていたようだ。僕も子供の頃よく参加した思い出があるけれど、映画と図書館は実に相性がいいのだ!)
館長自体は、100年ずっといたわけではないけれど、最後の館長として、今までの歴史や思いがつまったこの図書館のお別れの挨拶を丁寧にしている姿が印象的だった。
そして、集った人達も、今までこの図書館でお世話になった思い出と
感謝の気持ちを何か伝えたい、そういう場だったように思う。
何しろ図書館のサービスと利用の幅は広い。
これだけ、人が集まり、何かを得ようとじっくり滞在する場というのは、
他にないんじゃないかと思う。その分だけいろいろな物語がここにあったはずだ。
一口に100年の歴史と書いたけれど、
図書館には、古代から近現代までの ものすごい時の流れを留めおき、
客観的に取り出すことの出来ない時間性というもの
が内在する場であると思う。
そんな中で、その最後の最後の最終日。
樋渡さんはどういう思いで、ずっと働いてきて、僕を呼んでくれたのだろう、
館長はどんな思いを感じとって、みんなに言葉で伝えたかったのだろう…。
今後も建物自体は残るらしいし、千代田の図書館に移管されるとのことだが、